暖房をつけたい話

ついに暖房をつけた。初夏から秋口に掛けて延々と、窓からさんさんと日差しが差し込み灼熱の世界を自宅にいながら味わえる設計だったので、「これは冬の間に暖房をめちゃめちゃケチらないとつり合いが取れないぞ」と決意を固めていた。というか、冬になっても窓から差し込む日差しがナチュラルな力で部屋を加温してくれて暖房いらずのエコロジーライフになるんじゃないかと勝手な期待をしていた。でもまぁ、世の中の大抵のことのように、そんな上手くつり合いが取れるはずもなく。

天気予報で「12月中旬並みの気温です」なんて耳にする日も出てきて、頼りにしていた日差しはどんどんと弱まり太陽が遅刻と早退を繰り返すようになってくると、ついに室温と外気温に大した差が出なくなってきた。確かに10月の間は、室温に合わせて外出すると場違いな半袖野郎になるくらいに暖房いらずの環境を提供してくれていたのだけど、もうそんな余裕はない。寒い。足先が冷たい。シャワーで済ますことに限界を感じてきた。「こたつ出しました」なんてつぶやきも見た。それでも、「例年はまだ暖房つけてないんじゃない?」なんて忘れたふりして11月をごまかしていたのだけど、流石に布団にくるまって暖を取りつづけるわけにもいかない。最近搭載されたTwitterのアンケート機能で「暖房、もう使ってますか?」と聞いてみた。暖房を使っている人の方が多かったら、たぶん一般的な暖房をつける時期というのが来てるのだろう。そうしたらもう我慢せず暖房を使ってしまおう、という魂胆。例年暖房を付ける時期を、本当に忘れていた、というのもある。

結果は。

 51%対49%。実に微妙だ・・・もっとこう、7:3くらいになってくれたら、「夏に冷房使いまくった分の暖房は十分我慢したね」と気兼ねなく暖房を使えたのに。でももう、それから5日くらい経ったし、今日は寒いし、12月になっちゃうし、寒いし、暖房使ってもいいんじゃないかな?って。

 

で、ついに点けたわけです。暖房。暖房と言ってもエアコンしかないけど。夏の終わりの時のまま冷房表示になってるリモコンをぽちぽちと暖房へ。ようこそ冬。ついに認めざるを得ないようだね。しょっぱなからガンガンに使うわけにもいかないので23度くらいからでいいかな。節電で勧められている暖房の気温設定が何度だったのかも、忘れてしまった。

さてこれで、足先の冷えとか、冷えから体を縮こまらせることによる肩こりとか腰痛とか、いろんな不調ともおさらばだぜ!と思っていたのが30分くらい前。おかしい。寒い。相変わらず体を縮こまらせて肩こり腰痛を悪化させているし、足先はサーモグラフィーに映らないんじゃないかってくらい冷たい。おいおいおい、なんだ、23度じゃ動かないのかお前は。25度まで上げてみる。寒い。というかエアコンから風が全く出ていない。運転ランプが点滅している。頭の中に「故障」の文字も点滅する。今こそまさに「故障かな?と思ったら」なのだけど、あいにく賃貸に備え付けのエアコンなので取扱説明書がどこにあるのかわからない。最初からなかったような気もする。

でも21世紀は便利だね。エアコンの型番で検索を掛けるとあっさりと取扱説明書が見つかる。絵が古い。全体的にややかすれている気がする。もしかして結構古いエアコンなのか・・・?「故障」という文字の点滅が速くなる。まぁ待て、まずは落ち着いて運転ランプの点滅の意味を確かめようじゃないか。全然書いてない。「運転ランプが点灯しているときは運転中の時です」そうだろうね。

しょうがないから「故障かな?と思ったら」を見るけど、一番近いのが「フィルターが汚れているのでは?」というもの。そうかも。使い始めてから一度もフィルターを掃除したことがない。すさまじい埃でフィルターが目詰まりしていても不思議ではない、と思ってフィルターを外したけど意外と綺麗だ。とはいえ多少の汚れはあるので、掃除機で吸ってからまた取り付けてみる。さぁ動いてくれ。吹き出し口のフラップが開く。風が吹き出して、すぐ止まって、運転ランプが点滅する。代わりに「故障」の文字が点滅をやめる。

でも、最後に冷房を使っていた時から何もしてないのに壊れるものか・・・?暖房だから動かないんじゃないか。冷房だったら、もしや・・・さすがに冷房にはしなかったけど、除湿運転はしてみた。ただでさえ乾燥する季節なのにね。一体何を除湿するんだ。案の定動かない。まぁ除湿するものがあんまりないしね。あと運転ランプが点滅してるしね。

取扱説明書を見直してみると、ページの最後の方、下の方に小さい字で「運転ランプが点滅するときは、運転を停止し、『お買い上げの販売店』にご相談ください」と。はーい故障です!故障です!

裁判所の前で待つ人だかり。そろそろ判決が出るころだ。最高裁までもつれ、その判断を今か今かと不安げな表情で待つ支援者たち。そこへ、玄関から2,3人の人が駆け出してきて丸めた紙をばっと広げる。そこにはでっかく「故障」の二文字!故障です!不当判決だ!誠に遺憾であります!

 

ということで、暖房はまだ使えないようです。これ、修理代出さないといけないのかなぁ。契約の際に保証があったかしら。足先が凍傷になる前になんとかしたいと思います。

何も考えてない話

ウィトゲンシュタインという人がいます。こんな言葉を残したそうです。

「語りえぬものには沈黙せねばならない」

なるほど。それは本当にそう。前から思ってたけど、語りえぬものには沈黙せねばならないよね。例えば、ほら、あれについてとか。

 

 

 

 

語りえぬものには沈黙せねばならないからね。あれ、がなんだかわからない以上沈黙するしかないのです。

もちろん、そんな意味でウィトゲンシュタインがこの言葉を残したんじゃないでしょう。調べればその本来の意味を知ることは可能だし、それについて長々と書き連ねることもできるでしょう。でも、ここではそういったことはしません。調べた先で出てきた文章を読んだ方が早い。

なぜウィトゲンシュタインなんて言い出したのか?実はそこには深いわけがあったら良かったのに。何も考えてない。「語りえぬものには沈黙せねばならない」って言葉がふと浮かんだから書いただけ。

しかし、全く関係がないわけではないのです。たとえば、このブログの続きとか。何も考えてない。何も考えてないということは、語りえない。語りえぬものには?

 

 

 

 

 

 

 

そう沈黙せねばならないのです。破っちゃってるけどね。沈黙。

沈黙は金、雄弁は銀という言葉がありますね。これは日本の言葉、だと思ったけどそんなことなかった。イギリスだそうです。しゃべるのも良いけど、黙るのを知ることも大事だぞ、そんな意味ですね。さて、語りえぬものには沈黙せねばならない。沈黙は金雄弁は銀。ということは、語りえぬものは金でなくてはならない?

何を言ってるのかわからなくなってきたところで、こんな言葉を引用しましょう。

なぜウィトゲンシュタインなんて言い出したのか?実はそこには深いわけがあったら良かったのに。何も考えてない。

さっき書いた文章だね。どんどん意味がわからなくなる。でもそれでいいのです。タイトルに「何も考えてない話」って書いてるので。何も考えてないのにだらだらと文章を書こうと思い立ってしまったこの私を許してくれ。故郷で妹が結婚式を挙げるのだ。友人を身代わりに差し出すから、三日だけ待って。

 

何も考えていない、何もないところから文章を生み出すにはどうしたら良いのだろうか。何かしらのテーマで持って書き出せば、それは文章ができるでしょうが、今回は何も考えてないのでなくてはならない。原初の、塵一つ存在しなかった空間上に「ゆらぎ」から物質と反物質が生まれたことを考えると、句読点一つ存在しなかった真っ白な画面上に文章を生み出すにはやはり「ゆらぎ」が必要なのではないか。「ゆらぎ」から文章を生み出すことは確かに可能かもしれないが、問題としては物質に対して反物質が生まれるがごとく、文章に対して反文章が生まれるに違いない、ということだ。

しかし、また一つの疑問が生まれる。この、本当にしょうもない文章の羅列は、すでに反文章なのではないか?1000字近く読んできて、全く、何一つ得るものがない。まさしく反文章なのではないか。でもこれが反文章だからといってがっかりすることはない。反文章が生まれたということはどこかに文章も生まれているはずだからだ。ちなみに反文章と文章がぶつかり合うと消滅する。

ところで、反文章を読んだことはありますか?初めてだとしたら貴重な体験です。いやもしかすると、そもそも反文章自体が初めての存在なのかもしれない。今まで反文章などというものの存在を証明することはできなかった。何故なら文章とぶつかり合うと消えてしまうからです。大抵の場合、いまやそこら中に文章があふれていますから、我々が読む前に反文章は文章とぶつかって消えてしまうのです。消える前の反文章をこうして読めるというのは実に貴重な体験ですよきっと。これも直に消えてしまうかもしれない。

何しろ、これの下に続いている記事は、少なくともこれよりはましな、少なくとも文章だ。反文章じゃない。ということは、文章にぶつかった下の部分から、この反文章も消えていってしまうに違いない。「違いない」、というのは、実際に反文章が消えるところをみたことがあるわけじゃないからです。理論上は消えるんだけど、直接この目で見るまではなかなか信じられない。さぁそろそろ文章とぶつかる頃合いじゃないだろうか。これでもしぶつかっても消えないとなれば、「ゆらぎ」から文章と反文章が生まれるという理論も、反文章と文章がぶつかると消えるという理論も全て間違いだったのかもしれない。緊張の瞬間だ。いつだって理論は実験によって覆されうる。反文章の理論が証明されればもしかしたらノーベル賞だってもら

旅行@宮城の話(その6)

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前回までのあらすじ。焼き牡蠣食べ放題を待つために松島で2時間観光することにしました。

 

通り沿いに歩いていると、「牛タンまんじゅう」なるものを発見。どう考えても美味しい。さらに同じ店で、ずんだ餅アイスも売っていた。牛タンにずんだ餅、宮城名物をしっかり押さえてきてるあたり流石観光地だ、と言ったところか。ちなみに、各県の名物の知識は主に「ラーメンズ」のコントである「不思議の国のニポン」によります。要するにずんだ餅と牛タンしか知らない。

www.youtube.com

続いて出くわしたのは笹かま。笹かまも名物なの?それも、自分で手焼き体験ができるとのこと。一本200円と格安なので、名物かどうかはともかくやってみよう、といざお店の中へ・・・と思ったのだけど、覗いたら満席っぽかったので引き返してしまった。どうもお店の中に囲炉裏みたいな焼き場があって、そこで笹かまをあぶるスタイルの様子。残念だがしょうがない、他のものを見よう・・・と思って進むとまた笹かまの手焼き体験のお店。やはり名物なのかもしれない。試しに「笹かま 名物」で検索したらばっちり仙台が出てきました。自分の無知をさらしてしまった。

何はともあれ、今度の笹かま手焼き体験のお店は空きがありそうだったので早速トライ。200円と引き換えに竹串に刺さった真っ白な笹かまを渡される。今は普通のかまぼこっぽい。試しにかじってみたけどやっぱり普通のかまぼこでした。美味しいけど、やや物足りない感じ。松尾芭蕉も「笹かまは焼いてなんぼ」って言ってたけど間違いないね。言ってないね。「向こうで焼いてくださいねー」ということで向かうと焼き網が用意されていた。熱がどんどん漏れ出てきていて、近づくだけで熱い。笹かまなんてすぐに焼けちゃうんじゃないか?

焦げることを恐れて網から距離を取る。しきりにひっくり返して焼き目を確認する。まだ白い。まだ白い。まだ。まだ?意外と焼けないぞ、ということがわかってきたので、網に直接笹かまを置いて待つことにする。まだ白い。こんなに熱いのに。やや焦げ目がついてきた。先に焼き始めていたカップル、まだ焼いてる。端っこだとなかなか焼けないんじゃないか、ということでなるべく真ん中まで笹かまを押し出す。そのままさらにしばらく待っていると、突然笹かまが動いた!もう一生白いままなんじゃないかと思っていた笹かまが、しっかりと焼けて膨らんだのだった。油断しているうちに美味しそうな見た目に変わっていた。久しぶりに会った同級生がめっちゃ美人になってた、とかこういう感じなんじゃなかろうか。でも、反対の面も焼かないといけないんだ・・・そうしてもう片面をじっと焼いている間に彼女は他の男と幸せになっていく。焼きあがった笹かま、しっかり味わいました。旨い。やっぱり笹かまは焼いてなんぼだ。多分伝わってないだけで松尾芭蕉も言ってるよ。

 

他にせんべいも食べた。字数の都合で省略するけど。ちなみに「せんべい 名物」で検索したら「名物せんべい」という南こうせつの曲がヒットしました。そんな名物せんべいを食べながら、ついに食べ物以外の場所へ向かいます。

それが国宝・瑞巌寺。さっきまで食べ物の話しかしてなかったのに突然高尚な場所へ来た。ずいがんじ、と読みます。たまたま本堂が工事中だとかで、代わりに普段は公開していない庫裏を期間限定で公開しているとのこと。

拝観料を払って中へ。すぐに工事現場が目に入るのだけど、本堂とは別の工事に見える。何しろ建物がない。何を工事しているのだろう?と思ったのだけど、どうやら津波による塩害でダメになった敷地内の林を復活させるために、土の入れ替え作業をしているようでした。海岸沿いの建物はだいたい復活していたけど、まだダメージが残っているところもあるのだな。

敷地内の岩山に、いくつも四角く穴が掘られていた。穴の中には仏さまが置かれていたり、岩山から直接仏さまが掘り出されていたりする。この穴で亡くなった人の供養がされたりしていたそうだ。

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どうしてこんなにぼやけているんだ。

限定公開だという庫裏に入らせていただく。外側の写真、撮ってなかった。

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このくねくねとした梁が、自然のそのままの形を利用した梁だそうで、なにか名前があったと思うのだけど忘れてしまった。ここにはJRの寄付で作られた観音像があった。外にも鉄道関係の殉職者を祭った記念碑が建っていたりしたので、こことJRは何かしら関係があるのかもしれない。

こんな景色の見れる窓もあった。相変わらずぼやけてるけどもう気にしない。レンズが汚れていたか何かでしょう。

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庫裏ってなんだろうと思っていたけど、禅宗の寺の台所なんだそうだ。「日本三大庫裏の一つ」らしいけど「日本三大庫裏」って初めて聞いたよ。

そして仮本堂。本堂が改修工事中の間、代わりにこちらにご本尊などを移して特別公開をしていました。

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この部屋、入った瞬間から金ぴか。一面金色の屏風があるので迫力がある。でも実際には写真による復元なので、これらの屏風の表面はつるっつる。本物はちゃんと別保存らしい。上の写真の中央の観音様がご本尊です。その右側に並んでいるのが伊達政宗の位牌。

急に真面目な話になりましたが、このあたりで2時間が経過。そう、ついに焼き牡蠣食べ放題の時間になったのだ!せっかくありがたいものをいっぱい見たのに、食欲の俗世へ逆戻りである。瑞巌寺、次に来るときは本堂の改修が終わった時にしたい。つるっつるの屏風も良いのだけどね。

国宝 瑞巌寺

 

ようこそ俗世へ。そこは焼き牡蠣食べ放題ハウス。建物は完全にプレハブで、牡蠣をひたすら焼いて食うためだけに作られたような場所だ。絶対に国宝にならないのは間違いないけど、国宝になるとかならないとか、牡蠣が食べられれば関係ない、そうだろ?

こんなこと言ってるけど、初めて牡蠣を食べたのはほんの2時間前とかだったので、自分が牡蠣を好きか嫌いかもまだわかってない。でも迫力はすごい。

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なるほど、これは食べ放題でしょうよ。この焼き台のうえにシャベルで牡蠣をどっさりと持ってきたあと、ふたをして蒸し焼きにする。その間15分。どんどん隙間から湯気が出てきて磯の香りが鼻をつく。温かい磯の香りって別にさわやかでもないしかといって食欲をそそるわけでもない、しっとりとした違和感を感じる。15分経ったところでふたがオープン。スタッフの方が中心に温度計を突き刺しながら説明をする。「80℃超えてますんで、牡蠣の中のノロウイルスは死滅してます。ちゃんと熱くなってる牡蠣を食べてくださいね」。

ちなみに、完全セルフ仕様です。バットと軍手、箸、トング、貝殻をこじ開けるようのペーパーナイフみたいな形のものがセットで配られるので、それらを使って勝手に食べてね。

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醤油だけでいただきます。うん、牡蠣おいしい。嫌いじゃなくてよかった。そして自分で牡蠣の殻をむくのが意外と楽しい。せっかくの食べ放題なんだから無限に食ってやるぞ、と意気込んでいたけどさすがに45分間も牡蠣だけ(本当に牡蠣だけ)だと途中で味に飽きてきたので、ひたすら牡蠣を剥いては隣の人に食わすマシーンになってた。せめて剥くだけでも楽しみたかったの。

 

そして牡蠣食べ放題は無事終了。翌日に嘔吐・下痢などの症状が出なかったという意味での、無事終了です。そしてこの牡蠣食べ放題の無事終了をもって、今回の宮城旅行も無事終了となった次第です。

たった二日、何の変哲もない土曜日と日曜日で出かけた宮城旅行だったのだけど、こうして振り返るとずいぶんと濃密な旅だったなぁと思う。土日だけで十分旅が楽しめることが明らかになったのも含めて得るものの多い旅行でした。それにしてもずいぶんまとめるのに長くなった・・・もう当分旅行の話はないと思います。

旅行@宮城の話(その5)

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宮城旅行の話、その5までできてしまいました。ほぼ1泊2日の宮城旅行と3泊4日の愛知旅行の分量が一緒なのはなぜだ。

右側の窓際に座るのがベストだったというのがまとめになる、松島の島めぐり遊覧船を下船したのが日曜日のだいたい12時。車で帰るならそろそろ旅行も締めにかかった方がいい時間だ。旅行最後の昼食は、前々から目星をつけていた「焼き牡蠣食べ放題!」

www.sakana-ichiba.co.jp

45分間2000円で牡蠣を食べ放題なんだとか。同行の人らはみんな牡蠣食べ放題を目当てに今まで生きてきました、くらいのぎらつき様だったのだけど実は自分は今まで牡蠣を食べたことがなかった!食べたことがない食べ物の食べ放題、なんというリスクだろう。一つ目を食べてみて美味しければ勝ちだ。後はひたすらに食べ続ければよい。でも、もし一つ食べてみて「あっ、これ、苦手なタイプの食べ物だ・・・」となったら・・・?2000円払って45分間みんなが美味しそうに自分の苦手な食べ物を食べる様を眺めるという、新興宗教でも開けそうな苦行になってしまう。

そんなことを考えて小さな不安を膨らませつつあったのだけど、ちょうど良く松島は牡蠣の名産地でそこら中で牡蠣の商品を売っている。食べ放題じゃない焼き牡蠣もあるし、牡蠣フライ、牡蠣とアナゴ丼、牡蠣汁、などなど。そんなバリエーション豊かな中から1つ試しに食べてみればいいわけだ。今回は牡蠣フライをチョイス。車を駐車場に入れる直前に信号で引っかかった時、たまたま牡蠣フライの店の前で止まったが凄く美味しそうに(その時の運転手には)見えたから。

注文をしにいくと、「今揚げるから待ってて!」注文を受けてから牡蠣を油に突っ込むスタイルらしい。揚がっていくじゅわじゅわという音は確かに美味しそう。待つこと5分くらい?揚げたての牡蠣フライが完成。ついに海のミルクとご対面するわけだ。「塩だけで食べれるからね!」と店のご主人は言うけど、普通の牡蠣フライってソースなりタルタルソースなりかかっているよね。いざ初めての牡蠣フライ、いただきます・・・!

あっつい!

いや当たり前なんだけど。揚げたてだし。揚げるところ5分間ずっと眺めてたし。一口目の感想は熱い。熱くてどれが牡蠣の味なんだかわからない、というのが正直な最初の感想になってしまった。初めて食べる味も食感も知らない食べ物を、熱々のままいただくと何が何だかわからん、という貴重な知見を得ました。皆さんも食べたことないものを最初に挑戦するときは、熱々にしないようにしましょう。熱々のままの一口目は「衣がサクサクだね」という牡蠣と全然関係ない感想で終わってしまった。続いて二口目、これがちょっと失敗だった。牡蠣の内臓?部分でちょっぴり苦いというかえぐいというか、そんな味だったのだけどこの味がとあるトラウマを引き起こしてしまった。

 

それは以前青森に出かけた時のこと。生鮮市場の中に食堂を作りました、というような食事処があったのでそこで昼食にしようとしていた。最初にごはんだけもらって、市場を歩きながらその上に自分の気に入った魚介を載せていって君だけの最強の海鮮丼を作ろう!というスタイルだったので、いくらとか中トロとか卵焼き(海鮮じゃないけど)とかをどんどん載せていく。今にも最強の海鮮丼が完成するというその時だった。何やら見慣れない食材が目に入った。ホヤだ。

食べたことがある人はもう「ああ~」となったかもしれない。なってないかもしれない。とにかくホヤ、見たこともないし食べたこともなかった。何やら柔らかくて赤いサザエみたいな見た目で、その殻を開くと中から貝みたいな何かの内臓みたいな不思議な物体が出てくる、という今思えば明らかに初心者ハードルの高い食い物。ちなみに調べてもよくわからない。「脊索動物門、尾索動物亜門、ホヤ網に属する海産動物の総称」とのこと。なんて?

このばくち感の高いホヤだったのだけども、旅先でややテンションが高かったのと怖いもの見たさ、そして産地なんだからきっとなんだって旨いだろう、という生鮮市場に対する信頼が重なって挑戦することにした。挑戦することにはしたけど、情報が大いに越したことはない、と店のお婆ちゃんに聞いてみる。

「ホヤって、初めての人が食べても平気ですか?」

「○×▼☆◎●◇□×~」

多分初めて、全く聞き取れない方言というものに出会った。かろうじて「ホタテ」という単語だけ聞き取れたけど全然意味がわからん。もう一回くらい聞き返したのだけど結局何言っているかわからなかったので、面倒くさくなってホヤを買うことにした。

トラウマの話で始めて書いてるだろうからわかると思うけど、これが本当に辛かった。最初は貝と同じような食感で始まりまず苦味が来る。そのまま噛んでいると妙な薬品っぽい臭みというかわさびのような痺れ感というか不思議な味が広がってきて、結局最後までうま味とか甘味とかそういうのは全然来ない。口に入れた瞬間思わず真顔になる。申し訳ないが吐き出しそうになる。さすがに失礼なので頑張って飲み込んだけど、結構量が多かったのでまだなくならない。修行僧の表情で心を無にして残りも食べきろうと思ったのだけど4切れくらいで力尽き残してしまった。もしかするとこの広い広い宇宙のどこかには美味しいホヤもあるのかもしれないけど、とりあえずもう食べない。

 

初めて食べた牡蠣フライの二口目で内臓?に当たったとき、その苦味がホヤの苦味を思い出させてしまった。えっ、何、苦っ!ホヤ?ホヤか?!でも周りはみんな旨い旨い、さすが本場の牡蠣フライである、塩だけで食べれるとは、などと言っているので一人だけちょっと無言でもしょもしょ食べる。これ、めちゃめちゃもったいないんじゃなかろうか。でも次の一口はもう内臓はないはずなので、邪悪な海のなんかよくわからん軟体動物を思い出すことなくいただけるはずだ。三口目。うん?一口目の時のような熱さはなくなっているが、これ衣だけ・・・?苦味は確かにない、衣は美味しい、塩でいける、でもこれ、牡蠣入ってる・・・?とりあえず残りも口に放り込む。そこでようやくわかったけど、衣の他に確かに感じるこのほろほろとした食感と淡白な味が、さては牡蠣なのだな?一つ目の牡蠣フライを、牡蠣の味を確認するためだけに使ってしまった。二つ目は牡蠣フライとしてちゃんと味わうことができました。美味しいです。でももっと圧倒的なうま味!とかがあるのかと思っていたのだけど意外と主張しない味なんですね、と思いました。

 

牡蠣フライを食べた後はメインである焼き牡蠣食べ放題へ向かう。まぁまぁ道なりに歩いて、一回通り過ぎて、そしてたどり着いた焼き牡蠣食べ放題ハウス! 

2時間待ちでした。

2時間?ちょっとうろたえる。牡蠣を食べたら帰宅しようという算段だったのだけど、2時間待ってそれから45分間の食べ放題、と考えると松島出発は15時を過ぎてしまう。そうするとレンタカーの返却時間がぎりぎりになってしまうのだ。モーセでも来たかな?ってくらい意見がぱっくり割れる。

「牡蠣食べ放題をするためだけに今まで生きて来たから意地でも食って帰る」派。

「べつに他の牡蠣料理食べてさくっと帰れば良くない?」派。

別の牡蠣料理食べてさくっと帰れば良くない?と思っていたのだけど、牡蠣食べ放題ができないならばここで死ぬ、とでもいわんばかりに反対されてしまった・・・とりあえず2時間、ぶらぶら観光しながら時間つぶそうじゃないか、という話になる。松島観光が全然できていないのは事実なので、観光しよう、には賛成。通り沿いにもまだまだ美味しそうな食べ物とかあったし、国宝・瑞巌寺も見てない。ということで待ちのリストに名前だけ書いて、再び松島の通りへ繰り出した・・・

 

結局牡蠣フライを二個食べて食べ放題に入れなかっただけで3000字を超えてしまった。要約能力の欠如を感じる。次回に、次回に続きます・・・!いつ終わるんだこれ。

旅行@宮城の話(その4)

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鳴子峡から雨に降られつつ仙台へ戻りました。

夜は牛タンを食べると決めていたのだけど、店までは決めていなかった。なぜかというと、仙台駅の周辺だけでも牛タンの店がコンビニと勝負できるくらいあったから。いやコンビニより多かったかもしれない。コンビニで肉まん買いたいなぁー、って時にわざわざ行くコンビニを事前に調べますか?「あるね」ってことを確認したら後は適当に見つけたところで買えばいいや、と思うでしょう。牛タンの店もそれだけあったから、「適当に見つけたところで食べれば良くない?」ということで決めてなかったし当然予約もしてなかった。

とはいえ、牛タン屋のリストから良さそうな店を見繕って(ホテルに近所の牛タン屋マップがおいてあった)、そこを目指す。少し遠かった店なのだけど、情報からはかなり美味しそうだったので期待しつつ歩いていく。ようやくたどり着いて、階段を降りていくと、なんとすでにすごい行列が!連休でもなんでもないのに、こんなに牛タン屋が混んでるなんて予想もしてなかった。仙台の人ってラーメン食べるくらいの感覚で牛タン食べてるのかな?「飲み会の後はやっぱり牛タン食べたくなるよね」とか「締めの牛タン食いに行くか!」みたいな会話してたりするんだろうか。

でも怯まない。何故ならコンビニくらい牛タン屋があるから。セブンイレブンが混んでいたらローソンに行けばいいんです。すぐに別の牛タン屋を調べて向かう。しかし、この時はまだ甘く見ていたんだ・・・仙台人の牛タンへの思い(もしくは同じ時期に仙台観光に来ていた観光客の数)を!二件目は行列こそできていなかったものの満席。三件目も「今お客様入ったばっかりなので、あと1時間くらいは空かないかと・・・」。なんてこった。一時やんでいた雨もまた降り出した。この雨は牛タンが食べれなかった者たちの涙だ・・・

そんなすぐには諦めなかったですけど。なんせコンビニくらいある。しつこくうろうろしていたら、こじんまりした牛タン屋だけど開いているところがあった!もちろん牛タン定食!どーん!

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牛タン、食べたことあるよ。牛角とか行くと出てくるよね。ネギタン塩とか。おいしいよね。そう思ってました。本場の牛タンに出会うまでは。見てよこの厚み。今まで見てきた牛タンと全然違う。何だったんだ、今まで食べていたのは?味付きわら半紙?

牛タン、一切れ一切れが本当に柔らかい。厚くなってるけどむしろこっちのが柔らかいんじゃない?ってくらい。そしてなんだろう、ネギ塩なんかでごまかさずともしっかり旨い。あんまり他で例えづらい美味しさだなぁと思う。美味しいものってある程度方向性が重なってきて、「前に食べたこれと似たような美味しさ!」ってのがあると思うんだけど、この牛タンの美味しさはあまり被ってなかったように思う。主に食感のせいかな。

 

牛タンを食べたあとは、ニッカウヰスキー工場で買ったお酒をホテルの部屋で飲んじゃった。お土産にする瓶はかろうじて残しつつ、アップルワイン1瓶とウイスキー1瓶。当然、翌朝起きられるわけもなく。

10時には松島に着いている予定だったけど、実際に着いたのは11時半とかだった。着いただけましだと思うことにしよう。松島では「島めぐり遊覧船」というのがあって不思議な形の島々を見て回ることができる、というのでそれに乗り込む。1350円。結構するけどしょうがなかろう。

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これがその船だ!見た目よりたくさん人が乗れて、100人くらい乗れたんじゃないかな。左側の窓際を確保してわくわくしてたけど、これが失敗だったことが後にわかる。船が出発して少しすると、音声ガイドが流れ始める。

「右手をご覧ください、鍋島です。鍋のふたを伏せたように見えることから・・・」

「右手をご覧ください、双子島です。右の細長い島はクジラ島、左の丸い島は亀島と・・・」

「右手をご覧ください・・・」

「右手を・・・」

右側ばっかりやん!船が反時計周りに島の中を回るので、どうしたって右側の方が島の数が多くなるのだ。でも時々左側のガイドも入るのですかさず写真を撮る。

鐘島。この穴に波が打ち寄せる音が、鐘のように聞こえるから、とのことだけど締め切られた船内なので音は聞こえず。

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仁王島。仁王様が海を見張っているように見えることから、という。仁王様があぐらをかいて煙草をくわえているように見えるらしいのだけど・・・?

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これは確か桂島。松島の島々の中でもかなり大きく、人が住んでいて港もある。

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松島ってなんで「松島」というのだろう、と思っていたけど単に松がいっぱい生えているからなんですね。写真で緑に写っているのは全部松。鳴子峡が紅葉していたように、ここ松島でも他の木はそれなりに紅葉していたりしたのだけど常緑樹である松はきれいに緑のまま。冬でも同じ景色が見られるとのことだけど、この時期でもすでに海風がかなり寒かったのでどうせ同じ景色が見られるのなら春ごろがいいんじゃなかろうか。

遊覧船が回っている間、友人2人は完全に眠っていた。1350円の睡眠ですか。右側ばっかりアナウンスされるから飽きちゃうのもわかるけどね。

印象に残ったのは、音声ガイドの中にたびたび「東日本大震災」という言葉が出てきたこと。結構な数の松島が、やはりあの地震津波で崩れたりしてしまったらしい。今は完全に活気を取り戻しているのでともすれば被災したことは忘れてしまうくらいなのだけど、観光案内の施設にはこんな表示が。

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津波はこの高さまで来ました。この写真がやや上向きに撮られてることからもわかるかと思うのだけど、この水のラインは自分の頭より上でした。165cmくらいだと思うのだけど、完全に水没してました。そんなに津波が押し寄せたのですね・・・松島海岸沿いの商店街も、かなりの店で「ここまで水が来ました」ラインが引いてあったのだけど、本当によくぞ復興しました、という感じ。一番被害が大きかった地区ではないのかもしれないけど、それでもダメージはいかばかりだったろう。

 

今日のところはここまで。終わるかなと思ったけど意外と長くなりました。

あとは牡蠣と国宝・瑞巌寺の話ですが、この瑞巌寺、本当にたまたま「あるなら行こうよ」くらいで見に行ったのだけど良かったのでぜひ書きたい。

ではまた。

旅行@宮城の話(その3)

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ウヰスキー工場を後にして、次に向かったのは潟沼。

生物が生息する湖としては日本有数の酸性湖だとか。酸性ったってたかが知れているだろ、と思っていたんだけど、潟沼にあった説明版にはpH1.4とか書いてあった!そこまでの強さと知らずにちゃぷちゃぷ指を浸して「つめたーい」とか言ってたけど、指が溶けなくてよかった。調べたら今はpH2.4くらいらしい。十分強いし全然生き物がいないので、水がきれいな透明でちょっぴりエメラルドグリーン!

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高いところから見下ろさないと水の色って全然わかんないんだけど、これでも一番高いくらい。この周りの山は登って行けないので。

この湖のほとりに沿って、一周できる道が付いていた。ざくざくと歩いていったんだけどもとにかく虫が多い。ぶんぶんしてる。後でわかったことだけど、この潟沼に生息する生き物っていうのはこのユスリカのことだったらしい。

道に沿って進んでると変な臭いがしてきた。知ってるぞ、これは卵が腐った臭いだ!本当に卵を腐らせたことはないけど、でも「卵が腐った臭い」ってわかるのはすごい不思議だ。写真中央の黄色い穴が開いてるところから、火山ガスがもくもくと噴き出していて、それがとにかく臭かった。写真だと小さい穴に見えるけど実際は1m以上あったように思う。もっと近づいて撮りたかったんだけど臭くって諦めた。

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湖を半周したところで、道は森の中に入っていく。湖面から少し離れて木に阻まれるので、エメラルドグリーンは見えづらくなるのだけどぶんぶんしていたユスリカもいなくなる。そしてこの森の中の道がすごく良い道だったんですよ!

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絵葉書にしたい。地面も、あんまり人が通らないのかコケなんですよね。

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ふかふかのコケとは違うけど一面が緑に覆われてほんのりクッション性があって、紅葉のトンネルの中を歩いて!ユスリカの大群にめげずに半周したかいがあったというもの。

この道のわき、鳥居が立っていた。よーく見ると、かすかな階段がある。

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なんだろう、と登らせていただいた。手作りっぽい階段を滑りそうになりながらも登った先に、小さな祠がありました。龍神、と書いてある石碑も立っていたのだけど、おそらく潟沼の伝説と関係があるのだろう。「潟沼の主は女の龍神であって、毎年桃の節句の夜明けごろ、沼の中から龍神の機織る音が聞こえる」とのことなので、この鳥居は潟沼の龍神さまを祭ったものなのだと思います。水の神様ですね。

潟沼を一周して次の目的地へ出発。鳴子峡だ。もう十分紅葉を楽しんだ感じがするけど、果たしてどれくらいの絶景なのか見ものだな?と思ってましたがね、鳴子峡は本当に素晴らしいの一言でした。

鳴子峡の駐車場に着いてから、同じく紅葉をもとめてやってきたであろう人たちの流れに沿って進む。と、谷に掛かる橋から紅葉の谷を一望できる場所が!

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おいおいおい!スケール感が全然違う。一面、一面の紅葉でござるよ。まだ緑が多少残っている方が彩り感があっていいなぁと思いました。でも、有名な鳴子峡の写真といえば「紅葉の渓谷に掛かるアーチ橋」なのだけど、その橋が全然見当たらない。とりあえず、この先に観光案内所とか屋台が出てたりとかする場所があるようだったのでそちらへ向かうよ。

 観光案内所のそばに写真スポットらしき台があったので、そこから写真を撮る。笑っちゃったんだけど、「見当たらない」とか言ってた橋は、さっき自分が写真を撮っていたその場所だった。

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写真で見てたのと同じような構図だ!この橋、結構車もいっぱい通る幹線道路の橋だったので写真で見ていた印象と全然違った。それで実際に上に立っている時には気が付かなかったんだ。もっと観光用のレトロな橋かと思ってたけど普段使いされてて、レトロなのは当たっていたのかトラックとかが通るとがたがた揺れていたのでやや怖かったです。この鳴子峡の渓谷は、崖に沿って下まで降りていく階段が付けられていて、より渓谷を楽しむことができるよ。上の写真も、崖の途中で撮ったやつだったと思う。安全上の関係で4時までしか入れないのだけど、着いたときは3時半くらいだったので間に合って良かった!

下まで降りると、橋を下から見上げたような写真も撮れる。

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一番下まで降りると渓流も間近で見られる。この川がこの谷を削ったんだろうか。

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景色を見た後は、屋台を見て回ってみる。クレープとか団子みたいなどこでも見る屋台に交じってキノコ汁とかイワナの丸焼きみたいな、他であんまり見ない屋台もある。イワナを買いたかったんだけど、ちょうど一回売り切れになっちゃったところで「今焼いてるんで、待っててね!」なんて言われてしまった。焼いてる間、ずっとイワナを準備してるところを見ていた。

炭火に刺さったイワナの串を軍手だけでがしがしと移動させていくおじさん。時々「あっつ!」といって軍手を振ってる。熱いのをガッツでやってるのかよ。イワナを一通り移動させ終わったら、次のイワナ串の準備を始めた。水槽から網でイワナをサクッとすくうと一旦バケツに移す。続いて串を持ってきて、ぴちぴち動いているイワナをわしづかみにして、口からそのままグサッと!手慣れたものでテンポがすごい。串刺しにされたイワナを炭火で焼き始めたのだけど、まだ動いてる。生きたまま丸焼きにしている・・・!

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炭火でじっくり焼いてるから骨から頭まで全部食えるよ!とのことでした。

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丸焼きにされたイワナ様。身がほくほくで骨もぽりぽり食べれちゃう。頭もカリカリで、丸ごと全部美味しくいただきました。

イワナを食べている間に空がどんどん暗くなってきた。雨雲レーダーによるとじきに雨が降り出すという。まだイワナ食べ終わってないのに!結局イワナを食べきったかきらないかくらいから雨が降り出して、ダッシュで車へ帰った。イワナの祟りか・・・?!晴れてるうちに鳴子峡に着いて本当に良かった。

さて、仙台に戻り、牛タンを食べようと探す一行であったが・・・?

今回はここまで。次回は牛タンと松島の話になる予定!

旅行@宮城の話(その2)

nekodaisei.hatenablog.com

無事に深夜のドライブを終えて仙台に到着しました。白いびしょぬれの女も後部座席にいつの間にか座ってたりしなかったけど、後部座席にすでに3人乗ってたからかもしれない。

あれ、なんか急に座席狭くなったな・・・?おいこっち狭いんだけど、寄ってくるなよ。いや、俺はそっち寄ってないよ。というかこっちも狭いし。あれ?じゃあこれは・・・?うわー!いつの間にかびしょびしょの女が席を詰めて座ってる!

とはならないよね。全然気が付かないうちに席を詰めちゃうところまで含めて幽霊なのかな?

 

さて、最初の目的地は鳳鳴四十八滝。なんでこんな名前かというと、数多くの滝がわかれ流れ落ちるその音がまるで鳳凰が鳴いているかのように美しく響くから、らしい。仙台から1時間くらい走った山の中、ふいに看板が現れる。このあたりが鳳鳴四十八滝らしいぞ!

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駐車場から降りたらもうすでに紅葉がばっちり!本当に北と南だと季節が違うんだなぁ。ざくざく歩いて行くと、滝が見えるスポットがあったぞ!

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滝、すごいんだけど遠い。幹線道路脇の崖の上から滝を見下ろすような感じでした。もうちょっと近づけると良いのだけど。これだけだと全然48もないので他の場所を探す。

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滝だー!!絶景です。松尾芭蕉じゃなくても一句詠みたくなるくらい。

でも滝が見えるのはこの2点だけだったので、全然48に足りない。多分この渓流に沿って見てみれば48あるのかもしれないけど、車で行けて駐車場から見えるのはこのくらいでした。下に降りられれば良かったのだけどね。いやでも良い景色でした。この滝だけを目当てに行くとちょっと拍子抜けしちゃうかなぁという気はします。

 

さて次はニッカウヰスキー工場だ。鳳鳴四十八滝からはすぐ。「ニッカ橋」という橋を渡って工場へ到着。10時くらいだったと思うのだけど、すでに駐車場には車がいっぱい。蒸溜所ガイドツアーの受付にもすでに人がたくさん待っていたけど、ほとんどが高齢者でした。

いざガイドツアー出発!

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これはキルン棟。原料の麦を乾燥させてモルトを作るための建物。この特徴的な形がウヰスキー工場のシンボルみたいになってるんだって。

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工場の中に入れてくれて見学ができる建物もある。これは麦汁を発酵させる槽。平べったく見えるけれど、地下1階までずっと伸びていて実際には3階建てくらいの高さがあるとのこと。この建物付近から、空気中に不思議な香りが漂ってました。ほんのり甘い、パンのような香り。原料の麦の香りなんだと思うけど、今まで嗅いだことのない香りでしたぜ。

そして蒸溜棟へ。

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上の方にちょっと見えている銅製のラッパを伏せたような形をしてるやつ。これがポットスチルという蒸溜器なんだそうだ。もっと見やすい写真を撮ったはずなんだけど、スマホから消えていました。幽霊のしわざか!?

北海道にある第一号のニッカウヰスキー工場とはこの蒸溜器の形が違っていて、ウイスキーの風味も異なるらしい。宮城のウイスキーの方が香り高くてまろやかな味になるとのこと。蒸溜器の上の方にしめ縄が結んであって、これは「美味しいウイスキーができますように」と神様にお願いしているんだそうだ。創業者の竹鶴政孝の実家が日本酒の杜氏だったらしく、日本酒と同じようにしめ縄を巻いたんです、とのこと。この建物はさっきまでのパンみたいな匂いとは変わってウイスキーっぽい香りになっていました。

そして貯蔵庫。ここで貯蔵する過程で熟成が進むのだ。

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・・・写真が白とびしちゃって全然だめだな。スマホの限界を感じます。一番右端の樽に半分だけ茶色いウイスキーが入ってるのはわかると思うんだけど、もともとは樽いっぱいに入っていた無色透明なウイスキーがだんだん茶色く色づいていって、また量もちょっとずつ減っていくのだ。このなくなった分のウイスキーを天使の分け前、というそうだ。

そして試飲!しかしドライバーはウイスキーじゃなくてソフトドリンクが出るぞ。結局お酒に弱い2人と「まだ運転したい」という1人が試飲しなかったのでドライバー問題はなんとかなりました。ちなみに、ドライバーは1人最初に首から「試飲しません」タグをぶら下げることになってるのだけど、見学が終わった時にタグと記念品のボールペンと交換してもらえます。

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試飲できるのは三種類。スーパーニッカと竹鶴、アップルワインの3つ。竹鶴とスーパーニッカはあんまり色の違いはわからないけど、香りと味は少し違う。アップルワインが全くの別物なので、それを飲んじゃうと違いがわからなくなっちゃうけど・・・!ウイスキー経験値がもうちょっとあれば香りの違いが、とか言えるんだろうけど。スーパーニッカよりは竹鶴の方が好きだったなぁ。

ちなみに、この写真のウイスキーは「もうちょっと運転したいから」というやつがもらうだけもらって匂いを楽しむだけ楽しんで飲まなかったやつなので、自分だけ倍量のウイスキーを試飲することになって完全に酔ってしまったよ。アップルワインのハイボールが一番美味しかったです。

写真はこんなものだけど、いくつか小ネタエピソードを。この宮城峡工場は周りが完全に森で、工場の敷地内にも木が何本も生えている。そして電線も全くない。建物の外壁は全部赤レンガでおおわれている。これは創業者の竹鶴政孝が「自然を大切にしなければ美味しいウイスキーはつくれない」という思いから樹木の伐採を最低限にして電線を埋設。景観重視で赤レンガを使った、ということのようです。中はばっちり近代化されてるんだけど、外見だけだと明治時代にタイムスリップしたような風景です。

また、近くに流れている川の水を気に入ってここに工場を建てることに決めたらしいんだけど、その川の名前が「ニッカワ(新川)」だった!本当に偶然らしいんだけどそんなことある?会社名のニッカの由来は、創業当時はウイスキーが売れないので(5年は熟成しないといけないから)リンゴジュースとかを売っていたらしいのだけど、その時の会社名「大日本果汁株式会社」を略して日果でニッカなんだそうな。

最後に、同じ目に合わないための注意なんですけど、駐車場にある自販機はおつり返却レバーを押してはダメです!160円入れてお茶を買おうとしたやつにいたずらでおつり返却レバーを押したら、なぜか20円しか出て来ず。「あれ?」念のため、念のためもう一回20円を入れてみるけどやっぱり20円の表示。「ここでもう一回返却レバーを押したら全部返ってくるんじゃない?」1円も出てきませんでした。別の160円を入れたら買えはしたので、320円の六条麦茶の完成だ!いたずらで返却レバーを押すもんじゃないね。

 

今回はここまで。次は最高の紅葉スポット「鳴子峡」だ!写真を貼りまくることが予想されます。