散歩の話

散歩はしますか。散歩。歩みを散らすと書いて散歩。歩み、散らしてますか。

散歩が好きです。近所をふらふらと歩き回って「おやこんなところに知らない道があるぞ」となるとそこを通ってみる。行き止まりだったりするけど、諦めず次の道をチャレンジする。

散歩の醍醐味として、車では通れない道だったり自転車ではちょっと辛い階段だったりを積極的に通るようにしているのだけど、そういう細い道の方が趣深いというか歩いていて面白いと思う。この細い道は行き止まりかな、それともどこかに繋がってるかな、とわくわくしながら進んでみて、くねくねと曲がった先が別の道へぬけていたりするとすごく嬉しい。伝わるかな、これ・・・嬉しいんですよ。

そういう細い道探しもしばらく繰り返すと、ほぼ全部が知っている道になってしまってつまらないので、さらに散歩の範囲を広げる。帰り路線の一部を徒歩に置き換えてみたりする。

 

最初は地図を見つつ歩いていたのだけど、何度か繰り返しているとだんだん慣れてきて迷わなくなってきた。「だいたいこっちの方」という方向さえわかっていれば、そっちを目指して右折と左折を交互に繰り返していればなんとなく近い場所にはいけることがわかったからだ。最短経路の数をもとめる数学の問題みたいだな、と思いながら歩いて目的地を目指す。

地図を見ないで歩くのがそこそこうまくなってきたので、徒歩だけの小旅行も計画したりしてみた。歩いて2~3時間の名所や観光スポットをGoogle先生にお伺いして決めて、そこまで徒歩だけで行くのだ。Google先生は機械の心しかお持ちじゃないので2~3時間を完璧に同じ速度で歩き続ける想定で出してくださるのだけど、当然われわれ人間はそうもいかないし好き勝手な道を歩いたりするので+2時間くらいを見込んでおきます。

これまで東京タワーとか浅草寺とか日枝神社とかに行きました。演劇を観に行く前に時間が有り余っていたので歩いて下北沢に行ってみたこともある。鎌倉に行ったときもあえて二駅くらい手前で降りて歩いて行ってみたら迷って迷って大変だった。あれだね、地図っていうのは自分がどこにいるかわからないと全然意味ないんだね。貴重な学びを得ました。

 

そんなこんなで結構な長距離でもザクザク歩けるようになってきたのだけど、次なる目標としては「夜のピクニック」だ。恩田陸の名作「夜のピクニック」を読んだことのある人ならどういうことかわかってくれると思うのだけども、簡単にいうと夜通し歩いて(時には走って)めちゃめちゃな長距離を歩き倒すことだ。どこかの高校に実際にある行事が元になっていると聞いたような気がするけれど、知り合いの人で個人で企画して人を集めてやってしまった人がいた。埼玉県の戸田公園駅から東京の葛西臨海公園まで。だいたい30キロくらいですが、このあたりが限界のようです。

これをね、是非ともやってみたいなー、と思っているのです。実際の「夜のピクニック」の醍醐味は、夜通し歩きながらおしゃべりをすること、らしい。原作の中でも歩き続ける中での会話がメインだったように思うけど、個人企画の夜歩く会でも、企画者の人が集めたてんでんばらばらなジャンルの人たちが歩きながら会話をするところに面白味があったようでした。なので、やるとしたらちゃんと企画をして色んな出身母体の人を集めて、夜通し歩くことによる会話の化学反応なんかを楽しみたいなと思います。