インプロの話

インプロ、ご存じでしょうか。

インプロビゼーションの略で、特に即興演劇のことを指します。観たことある人はもっと少ないでしょうか。台本も何もない状態で舞台に出てきて、お客さんからもらったお題を使ってその場で物語を作り上げていく、という大胆なもの。

お題の使い方もいろいろあって、お題を書いた紙を舞台にばらまいておいて少し話が進むごとにその紙に書かれたセリフを読む、とか、お客さんが出した「感情」に合わせて同じ脚本をやってみたり(「楽しい」がお題なら楽しそうに、「怒り」がお題なら怒りながら)。セリフ次第ではとんでもない方向に話が進むことももちろんある。本当に面白いし一度も観たことがない、という人はぜひ観てみてほしい。今度こういうのもあるので良ければ・・・!東京ですが。

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さて、今回はこのインプロ形式で、短いお話を書けないだろうか、と思ったので試してみたいと思います。やり方としては、適当な改行を開けてランダムなキーワードを配置。書き進んでそのキーワードにたどり着いたら、それを盛り込んで話を展開させなくてはいけない、というルールにした。お題となるキーワードは次の四つ。

パスワード ドーナツ つみ木 きりん

適当に目についた単語から始めた単なるしりとりだ。これを配置。

 

パスワード

 

ドーナツ

 

 

つみ木

 

キリン

                    

 

そして最初の一文を、一年前の自分のツイートから持ってきます。

 さあ、開始!

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「ある古文書を分析した結果、忍者が撒いていたマキビシはトンカツの衣部分だったことがわかっています。我々のこの『トンカツ・システム』の衣部分も非常にサクサクで固いセキュリティ機能を果たします。パスワードも『創業開始から受け継がれた秘伝のソース』ですので鉄壁です」営業マンは自信満々だったが、どこに自信を持てるのか全然わからない。この間も『ドーナツの穴探知機』を売り込みに来ていた。「ここはただの空気に見えますが、実は過去にドーナツの穴だった部分だということです!」じゃないんだよ。今回も意味不明だ。創業から受け継がれたパスワードとかザルにもほどがある。システムの衣部分ってなんだ。その古文書絶対嘘だろ。その時、つみ木でずっと遊んでいた息子が飽きたらしく、ねぇーまた肩車してー、と言い出した。こら、やめなさい、というよりも早くそのキリン兼営業マンは「しょうがないなぁ」と言って息子を肩車してしまった。「わーい、ありがとう!思ったより高くないねぇ!」皮肉みたいなことを言いつつも息子は相変わらず喜んでいる。キリンだから首は長いが肩の位置自体はそんなに高くもないのだ。全く子供の扱いだけはうまいんだよなこいつは、毎回それでやられてしまうんだ。「今日は本当に買わないですからね?」という言葉はテーブルからのピピッという音にさえぎられた。どうやら以前ドーナツの穴だったらしい。

ーーーーー

終了です!

いや難しかった、けどこれじゃないと出てこない話ができたと思う(完成度は別にして!)。ルールももう少し改善の余地がありそうだけど、これに懲りずにまたやってみたいと思います。少なくとも間の改行はもう少しあった方が楽ですね。もしやってみたくなった人がいたらチャレンジしてみてね。そして出来たら読ませてください。

ではまた。