降水量の話

最近はもう雨も少なくなってきて秋といった頃合いだけれど、まだまだ台風が来たりしている。台風だったり前線だったりで雨がたくさん降った時、「1時間で80ミリの非常に激しい雨が予想されます」とか「1日の雨量が多いところで300ミリから400ミリとなる予報です」とか表現されたりする。でもこの雨量の表し方、ちょっとわかりづらくない?多いんだろうな、ということはわかるけど・・・記録的な大雨なのか毎年降ってるくらいなのか。バケツをひっくり返したような、っていうのはどのくらいなんだろう?鬼怒川の堤防決壊の頃に考えてたことを今更になっちゃったけど調べてみたいと思います。

 

まず、1時間で○○ミリ、というのはどういうものなんだろうか。この○○ミリ、というのは要するに降った水を貯めてみたら深さがどのくらいになりました、というもの。どのくらいの容器に貯めるかというと、底の面積が1平方メートルの容器です。1時間あたりに1平方メートルあたりにどのくらい降ったのか、という単位でmm/h/m^2という複雑な形になってしまっているためにややわかりにくいっぽい。

まずは数字の計算によって降水量を実感してみよう。1時間に1ミリだと1L降ってくることになる。鬼怒川決壊の頃、「多いところで1時間に80ミリ」とか聞いたんだけど80ミリだと1時間に80L降ってくることに。しかも雨はその1平方メートルの四角のなかだけに降るわけじゃないので、隣の1平方メートルにも80L、前の1平方メートルにも後ろの1平方メートルにも80L。面積が100平方キロメートルの市の全体にこの雨が降ったら8,000,000,000L。1時間で800万トン。1分で約13万トン。1秒で200万L。25メートルプールの水量がだいたい50万Lなので1秒間でプール4杯分の雨が降ったことに。

逆に空の25メートルプールはどのくらいで一杯になるかというと、水深が1.2メートルだった場合で15時間。プールサイドに降った雨も全部プールに流れ込むとするとだいたい10時間となる(プールサイドを含めたプールの面積を30m×20mとしました)。思ったより掛かる気もするけど、半日くらい経ったら空だったはずのプールが一杯になってたところを想像してみるとやっぱり多い気もしてくる。ただ実際には10時間もの間ずっと80ミリで降り続くことはないだろうけど。

 

今度は別の方向から。 「バケツをひっくり返したような」みたいな言葉で表現できたらわかりやすそう。と思って調べたらいきなり正解っぽいのでてきた。さすが気象庁

www.jma.go.jp

1時間に80ミリだと「雨による大規模な災害の発生するおそれが強く、厳重な警戒が必要」とばっちり書いてある。どうりで鬼怒川堤防も決壊したわけだ。1時間に50ミリを超えるともう傘は全く役に立たないとのこと。滝とか書いてあるし。1時間に30ミリで「バケツをひっくり返したような」になるらしい。1時間に50ミリを超える雨が降っているときは気軽に滝行ができるのかもしれない。危ないからやめて欲しいけど。

 

とは言っても、滝に打たれたことがない人だと「滝くらいの雨って言われてもわかんないよ」となるかもしれない。何か身近なもので比べられるとよさそう。身近なもので比べられそうなもの・・・というとシャワーがありそうだ。シャワーの水量は10L/minくらいらしい。1時間に600Lということになるけど、80ミリの雨は1時間に80Lということだったのでシャワーのだいたい7分の1の勢いで降ってるらしい。全然わからん。節水シャワーだと8.5L/minくらいらしいので、節水シャワーの6分の1よりちょっと少ないくらいが80ミリの雨の強さとなる。意外と弱いような気もしてくるけど、どうなんだろう。シャワーを浴びながら「これの6、7分の1が80ミリの雨なのか」と考えてみよう。そのくらいの強さの雨だったら堤防決壊の可能性があります。

ちなみに世界の最大瞬間雨量だと1分間で38ミリという雨が降ったことがあるとのこと。Wikipediaより。カリブ海の島ですね。

降水量 - Wikipedia

もしそのままのペースで降り続けたなら1時間で2280Lということになるので、シャワーの3倍の勢いで降ってたことに。口を開けて上向いてたら溺れそう。

 

あとは、この前降ってたあの雨は何ミリの雨にあたるのか、とかがわかってると良さそうですね。テレビやラジオで「今日は1時間に30ミリの雨です」と言ってるのを聞いてから雨に打たれに行って「そうか、これが1時間に30ミリの雨か!」って確認したらいいと思う。今度激しい雨が降りそうな時に1時間あたりに何ミリ降る雨なのかを覚えてから出勤通学すれば、自分の中で基準ができるので役に立つんじゃないかな。明日は20ミリの雨だからこの間の雨よりは弱いぞ、とか50ミリ降るらしいからこの前のやつよりもっと強いらしい、危ないな、とか。

 

結局のところ、どれが一番わかりやすいっていう表現はつかめなかったけど、「バケツをひっくり返したような雨は30ミリ」「50ミリを超えると傘は無駄」っていうあたりが一番わかりやすいのかなぁ。あとはシャワーを浴びながら「これの7分の1・・・」って考えるのと「今のこの雨が何ミリの雨なのか」っていうのを確認しながら外に出ることで感覚が養われるかもしれない。ということで降水量の話でした。