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水ぶくれの話

水ぶくれができた。

フライパンで豚肉か何かを炒めていた時だったと思うのだけど、フライパンを持ち上げて動かしていたら左手の人差し指に水ぶくれができていた。あれ、おかしいな、油でもはねたかな、と思ったのだけど、何故かというとそんなに熱くなかったから。フライパンの持ち手はしっかりとした樹脂でできていて直接熱が伝わるような素材じゃない。確かにコンロの強さによってはその樹脂まで熱くなることも全くないわけじゃないのだけど、その時は「熱っ!」と思わず手を放すほどじゃなかったしほとんど痛みも感じなかった。まぁちょっとは熱かったしちょっとは痛かったということなのだけど。だから、まぁ、うっかりしてたんだろうな、と思って水で冷やしてそのままにしておいた。

 

翌日。

また水ぶくれができた。今度もちょっと熱くてちょっと痛かったのだけど、そんなことよりももっと妙なことが。

昨日の水ぶくれがない気がする。

治った?いやまさか。大したことなさそうな水ぶくれではあったけど、直径にして1mmくらいはあったからそんなすぐに治ったりしない、気がする。でも確かに今は水ぶくれは一個しかない。加えて妙なことには、昨日と場所が全く同じ気がする。

本当は今日は水ぶくれはできてなくて、昨日できたやつがただ痛んだだけ?十分ありえそう。少なくとも、昨日の水ぶくれが一日で治った上で全く同じ場所に水ぶくれができた、よりはありえそうだ・・・なんて思って水ぶくれを見ていたら、なんとだんだん小さくなり始めた!

まさか、「水ぶくれが一日で治った」説の方が正しいとは・・・それにしても一体いつの間にこんな驚異的な回復能力を手に入れてしまったんだ。X-MENだかHEROSだかなんかそういうアメリカのドラマシリーズでそういう超能力者がいた気がする。それにしてもなんて地味な気づき方なんだ。もっと「異形の怪物に襲われた仲間をかばって負傷、しかしその驚異の回復能力で再び立ち上がり敵を倒す」みたいな感じじゃないと。「水ぶくれがすぐ治った」とか地味の極みじゃん。そんな脚本書くやついたら一瞬でクビだろう。

でも小さくなっていく水ぶくれを見ていたら別なことに気が付いた。そもそもこれ、水ぶくれじゃないな。

 

何年か前の記憶。「学校ですぐできる!簡単タネ無し手品!」だったか「ドッキリいたずら大図鑑」だったか、こんないたずら?手品?が載っていた。

五円玉を隠し持ちます。

人差し指をずっと穴に押し付けておきます。

水の入ったコップを用意します。

人差し指を水につけます。

「あっ、水ぶくれが!」

ただの水のはずなのに火傷してしまいました!どっきり!びっくり!みたいな。いやいやそんな、騙されないだろ。試しに一回やったことがあるけど、「え?なにに押し付けてたの?」みたいな反応でした。ですよね・・・

 

・・・そんな昔の記憶が蘇ってきた。この水ぶくれ、というか水ぶくれだと思い込んでいたもの、もしかして・・・?

すぐにフライパンを空にして、持ち手をひっくり返してみると案の定小さい穴が開いていた。たぶん、持ち手に入ってしまった水の水抜き穴だと思う。この穴がたまたま左手人差し指があたる位置にあった、というのがオチでした。いやいや、こんなの騙されないでしょ・・・と思っていた仕掛けにまんまと引っかかってしまった。お恥ずかしい。

シチュエーションがそれっぽかった、というだけで説得力が圧倒的に違う。今度からドッキリを仕掛けるときはシチュエーションのそれっぽさに気を付けるようにしよう。マジックにもならないかなぁ、無理かなぁ。水ぶくれの話、というか水ぶくれもどきの話でした。